国連からも勧告されている、日本の精神病院への異常な長期入院の歴史です。
1950年代から70年代にかけ、日本では精神科病院が急増。背景には国の政策がありました。
国は精神障害者の入院を推進する政策を打ち出し、医師や看護師数の基準を緩和。患者一人にかける手間を減らし、病床数を増やすほど儲かる仕組みにしました。
患者を入院させ続け、病床を埋めることで、病院経営を成り立たせる構造が一般的になっていきます。
その結果、長期入院の患者も増加。精神科病院に1年以上の長期入院をしている患者は、現在およそ16万人いるとされています(2021年精神保健福祉資料より)。
参照サイト:2023/1/25 https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/743/
医療経営の面から言うと、退院支援を進めて病床を減らすことは収益の減少に直結します。
国もさまざまな施策を講じていますが、医療機関として別の収益構造に転換させることができない限り、なかなか踏み出せないというのが正直なところだと思います。
たとえていうと、長期入院で安定していて療養病棟に入っておられる方は、少なく見積もっても1ベッドあたりで年間約400万円の収益になるんですね。
それを100床、つまり100人の方を退院支援するとなると、1年間で約4億円の減収が見込まれてしまいます。
そう考えますと、とても簡単にはできないテーマなんだと実感しています。
参照サイト:2023/1/25 https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/744/
岩倉にあるいわくら病院で47年にわたり、精神疾患に苦しむ人たちと向き合ってきました。
参照サイト:2020/11/9 https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/430/
少し極端な言い方をすると、いる場所が座敷牢から病室になっただけで、社会復帰や家にきちんと帰ることができない患者さんが非常に増える事態になってしまった。
私宅監置の禁止が患者さんにとって解放だったかというと、違うのです。
参照サイト:2018/7/30 https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/83/